応募作131
「VR」
綾野祐介
大阪市此花区にあるUSJは今や押しも押されぬテーマパークの雄だ。
最近では、一時期スぺ-スファンタジーとして使用していた室内型ジェットコースターをVRと組み合わせて様々なアトラクションに仕上げて好評を博している。
VRとはヴァーチャル・リアリティの略で3Dの映像を専用ゴーグルを装着することによって前後左右、上下のどこを見ても対応させていて、今本当にその場所に自分が居るかのような感覚を得られる優れモノだ。
乗り物に乗り込むと体を抑えるバーが下りて体を固定してくれる。但しそのせいで、VRがどうしても物理的に見えない方向ができてしまうのだ。
それは「後ろの下」である。
後ろの下を見ようとすると固定バーが邪魔をして体が捻り切れない。だからと言って3D映像はその部分も手を抜いているわけではない。ちゃんと映像は用意されている。誰も見ることができない部分もちゃんと描かれているのだ。
好奇心で見ようとして固定バーを緩めようとした人が居たようだが当然係員にしっかりとバーを下ろされたので見ることはできなかった。
決して誰も見ることができない部分。そこには「決して見てはいけないもの」が描かれているので決して見ようとしてはいけない。