2017-02-14から1日間の記事一覧

いよいよ明日は最終日!

「大阪てのひら怪談」の展示は明日15日までです。 SUNABAギャラリーの展示作品の売り上げによって次回開催が決まるのでよろしくお願いします!。 最終日は18時でクローズします。(オープンは14時) 受賞作が気になった方や、投票がまだお済みでない方…

応募作の採点表

今回の選考会は前回と違い、審査員全員が同じ場所に集まって選考会を行うのではなく、一次選考時に、それぞれが点数をつけて採点する形式で行いました。 その時の採点表の一部を公開致します。 5点 「シン・ク・リトル・リトル」筆名:御於紗馬 コメント:怪…

第二回「大阪てのひら怪談」田辺青蛙賞受賞作品

作品タイトル:浮いているもの 筆名:綾野祐介 今年は頻繁に豪雨に見舞われ、あちらこちらで河川は氾濫し大きな被害が出ていた。 幸いなことに大阪の中心を流れる淀川は氾濫こそしなかったが上流である桂川が氾濫してしまった。その日の少し後のこと。私は普…

第二回「大阪てのひら怪談」山下昇平賞受賞作品

作品タイトル:黄楊の阿舎 筆名:君島慧是 まだパトロンめいた気質の残っていた、明治か大正期の大阪商人が造らせたと云われる。 銘は小さく、建物の土台に《光重》が読める。似た名は幾つもあるが、この名前はあまり聞かないと、根付に詳しい人も云う。とも…

第二回「大阪てのひら怪談」東雅夫賞受賞作品

作品タイトル:お仁さま 筆名:笛地静恵 お仁さまは、ふたりでひとりです。一つのからだに、二つの頭があります。人形のようにきれいな顔をされています。まっくら闇の中でも、まつげまではっきりと見えます。おからだ自体が、ほのかに白く光をはなっている…

第二回「大阪てのひら怪談」酉島伝法賞受賞作品

作品タイトル:優先座席 筆名:矢口さとり 「お兄ちゃん、あんた何処まで乗ってくん?」 混み合う電車の中でも、大阪のおばちゃんの声はよく響く。 地声がでかいのもあるが、あの独特のイントネーションと、周囲の人間全てが聴衆であるかのような自信に満ち…

第二回「大阪てのひら怪談」牧野修賞受賞作品

作品タイトル:幸運のお守り 筆名:矢口慧 マルビルに生えてる四つ葉のクローバーは、幸運を呼んでくれる。 昨日、そんな噂を聞きつけて来たのは、小学一年生になる姪だ。「なあ、おばちゃん」 そう、甘えた声と共に、膝の上に乗ってくるのに、台所に立って…

第二回「大阪てのひら怪談」佳作受賞作品

作品タイトル:お試し 筆名:光原百合 昔、つきおうとった彼女と日曜日に梅田で待ち合わせたことがあってん。 阪神百貨店地下入口の近くの地下街や。あの辺、ふっとい柱が何本も天井を支えてるやんか。ちょうど肉まんの「蓬莱」の前の柱のとこで待ち合わせて…

第二回「大阪てのひら怪談」佳作受賞作品

作品タイトル:前回 筆名:赤い尻 「あの、心斎橋へはどうやって行けばいいでしょう」 なんばの小さい交差点で信号待ちをしていると、学生風の男二人組に声をかけられた。喋りかたから関西の人間ではないだろうと感じる。 彼らの背後がちょうど地下街への出…

第二回「大阪てのひら怪談」佳作受賞作品

作品タイトル:鋏音 筆名:羽場良日 人間、この年になると、古い知り合いに会う機会いうたら、葬式ばっかりですわ。去年の十二月に、昔なじみが逝きよって。信さんいうてね、菊師仲間やったんです。 菊師いうのは、菊人形に菊を入れる職人です。そうそう、枚…

第二回「大阪てのひら怪談」佳作受賞作品

作品タイトル:うにたま丼 筆名:剣先あおり 繊維の街、船場センタービル付近は昼ともなると飲食店の激戦区となる。周りに商社や金融機関がひしめく一大ビジネス街でもあり、胃袋の数も半端ではない。中でも王道は大阪らしく安い値段で美味い飯を出す店だ。…

第二回「大阪てのひら怪談」佳作受賞作品

作品タイトル:おるねん 筆名:野棘かな 天王寺駅近くに住む叔母の家を月に一度訪ねて夕食をご馳走になっていた頃のことだ。 夕暮れ時、駅からの途中で足が止まった。先日までそこに建っていた文化住宅が消え、焦げた黒い廃材などが乱雑に放置された光景が広…

第二回「大阪てのひら怪談」佳作受賞作品

作品タイトル:梅田ビッグマン前にて 筆名:寒池笑 二回生の夏。夕方、私は梅田のビッグマン前にいた。飲み会の待ち合わせだったと思う。大勢が行き交っていた。たむろしている人も多い。近くにいた会社員の集団が騒々しく、私は苛立ちながら待っていた。誰…

第二回「大阪てのひら怪談」佳作受賞作品

作品タイトル:Reflection 筆名:高家あさひ ご趣味は何ですか? 写真? 私も実はカメラを持ってるんですよ。 私のカメラは大阪で買ったものです。はじめて手に入れた一眼レフカメラ。だけど、そのころの私はひとり暮らしで、アルバイトをしながら授業に通う…

第二回「大阪てのひら怪談」優秀賞受賞作品

作品タイトル:西中島0番地 筆名:オキシタケヒコ 西中島で働いていた頃のことだ。常態化していた残業の途中で会社を抜け出し、牛丼屋で遅すぎる夕食をとった直後だった。 「うん、西中島までは来とんねん。いや、せやからわからんて。番地教えてぇな」 そ…

第二回「大阪てのひら怪談」優秀賞受賞作品

作品タイトル:それは心音ではない、電車の音だ。 筆名:国東 あたたかい闇が揺れる、ゼリーのように凝っている。一定のリズム。 エネルギーが送り込まれる。血と肉が集まる。彼は少しずつ、存在しつつある。だがそこは子宮ではない。非常灯もない真っ暗な室…

第二回「大阪てのひら怪談」優秀賞受賞作品

作品タイトル:サヨナラしたいの 筆名:紅侘助 もうほかに方法はないのだと思った。 あらゆる手段を講じてきた。色んな人に相談した。助力を仰いだ。でも誰も解決できなかった。お金も使った。時間も費やした。期待した効果が出ることはなかった。 東京に住…

第二回「大阪てのひら怪談」優秀賞受賞作品

作品タイトル:歯の話 筆名:剣先あやめ 定年後、父は毎日梅田にある歯神社の境内を掃除することを日課としていた。神社といっても祠のような小さいもので、参拝者もまばらだ。誰に頼まれたわけでもない。それでも父は、毎日箒とちり取りを片手に小一時間ほ…

第二回「大阪てのひら怪談」大賞受賞作品

作品タイトル:疳の虫 筆名:中野笑理子 父から聞いた話。 昭和8年生まれの父の生家は、大阪の下町で印刷業を営んでいました。 父が生まれる少し前から、家業は傾き、祖父が手をだしていた相場も値が下がり、商売を畳まなければいけないほどになっていたそ…

受賞作品のアップについて

本日2月14日から、受賞作品を順次UPしていきます。Blogのフォーマットの関係により改行等がズレてる場合もありますが、ご了承願います。訂正希望の受賞者は、メールでご連絡下さい。 [osaka_kwaidan@yahoo.co.jp] イラストの購入について多くのお問合…

第二回「大阪てのひら怪談」受賞作発表

大賞 「疳の虫」筆名:中野笑理子 優秀賞 「歯の話」筆名:剣先あやめ 「サヨナラしたいの」筆名:紅侘助 「それは心音ではない、電車の音だ」筆名:国東 「西中島0番地」筆名:オキシタケヒコ 佳作 「Reflection」筆名:高家あさひ 「梅田ビッグマン前にて…