第三回「大阪てのひら怪談」のお知らせ

大阪をテーマにした怪談を募集します!

 

あなたも怪談を書いてみませんか!?

~800字の「大阪怪談」を募集中!~

◆2月10日(土)~21日(水)まで、大阪のSUNABAギャラリーで、「第三回 大阪てのひら怪談展」が開催されます。

 

この企画展にちなんで「大阪」をテーマとする800字の怪談募集をおこないます。

  • 応募期間は2017年09月01日~2017年11月30日の午後11時59分送信まで●

*応募資格は不問。大阪で生まれ育った方、大阪に現在お住まいの方はもちろん、大阪を一度も訪れたことがない方の応募も歓迎いたします。

*テーマについては、大阪と何らかの関わりがあれば可とします。歴史の陰翳に富んだ大阪という土地にまつわる話や、現代の大阪を舞台とする話はもちろん、大阪とゆかりのある人物や文学作品、歴史上の事件に関係する話、怖くて面白ければなんでもあり! の方針で臨みたいと思います。

※応募作品には出来る限り山下昇平氏がイラストを付け、SUNABAギャラリーにて展示予定です。

【応募宛先】 URL http://bit.ly/2hTsXjk

※昨年までと応募先が異なります。

 

応募フォームに入力し、送信を行って下さい。応募作はWeb上で公表予定ですが、改行、誤字訂正等のリクエストには応じられない可能性がありますので、十分に見直しを行ってからの投稿をお願いいたします。

応募で届いた作品はそのままコピー&ペーストで掲載されます。フォントや改行が意図したものと異なった状態で掲載される可能性がありますが、ご了承ください。

SUNABAギャラリーで掲載時には、応募作のフォント等を変更する可能性があります。(内容の変更を行う行為は一切致しません)

 

【応募規定】

※実話・創作を問わず広義の怪談(怖い話、不思議な話、奇妙な話など)に属するオリジナルの物語を募集します。

※なんらかの形で「大阪」と関わりのある物語であること。

※応募資格は不問。

※応募作は商業出版社の本や雑誌やサイトで未発表のものに限ります。

※本文(タイトルや筆者名は含まず)字数の上限は800字。

なお筆名は、お一人一つのみを使用とさせていただきます。

※応募本数は1人3作品までとします。

※応募期間は2017年09月01日~2017年11月30日の午後11時59分送信まで有効

*最終選考は、田辺青蛙、酉島伝法、東雅夫牧野修、山下昇平がおこないます。

*入選作品はSUNABAギャラリーで開催されるイベントで朗読されるほか、記念品が授与されます。

大賞:1作品 

Amazon商品券1万円分と山下昇平氏のオリジナル作品を贈呈予定

優秀賞:3作品

商品券3千円分と大阪に纏わる記念品等を贈呈予定

佳作:5作品

大阪に纏わる記念品を贈呈予定

個人賞:5作品

審査員による記念品を贈呈予定

SUNABAギャラリー賞:1点

何が贈呈されるかはお楽しみに!

 

※SUNABAギャラリーは移転しました。

〒530-0015

大阪市北区中崎西1丁目1−6 吉村ビル302

Tel.080-6145-7977

sunabagallery@gmail.com

 

公募に関する問い合わせや、取材に関する連絡は下記のアドレスまでよろしくお願い足します。

osaka_kwaidan@yahoo.co.jp

 

「大阪てのひら怪談展 参」

2月10日(土)~21日(水)

http://sunabagallery.com

SUNABAギャラリー

space B

時刻:14~20時、水曜日18時

休廊日:木金休廊

入場料:無料

 

■関連リンク■

 

「ふるさと怪談トークライブ」公式WEBサイト

 

山下昇平ギャラリー

http://beansworks.co.jp/

 

東雅夫の幻妖ブックブログ

http://blog.livedoor.jp/genyoblog-higashi/

 

怪談専門雑誌『幽』オフィシャルサイト

http://promo.kadokawa.co.jp/yoo/

応募作52

「あばうとに、いきます」

巌岳 糸子

 とにかくラッキーだった。美術展の入館制限は私たちのあとで締め切られたし、人気の店のランチは急なキャンセルで席が空いたし。
 そんな二人は先程まで、予約ができないから入りたければ並ぶしかないというカフェでアフタヌーンティ・タイムを満喫していた。土佐堀川の畔のレトロ・ビルヂング、二階席の窓から中之島公園の満開の薔薇を眺めながら。
 大満足の内に英国風の重厚な館の外に出て、私は友人の手首のことを思い出した。
「んー?かまんよ……あ、大丈夫。あおじ……痣にもなっとらんも」
 ほら、と袖を捲って見せてくれたのは左手首、すれ違いざま、顔も見えなかった誰かの荷物が当たって、痛々しい様子になっていた。その打ち身の跡は、私たちにご当地ゆかりの神さまを思い出させた、なぜだかそんな風に見えた。
「……さっきより、かわいくなってるビリケンさん」
「本当に」
 呑気に笑って歩き出した私たちを、観光客とおぼしい女の子二人連れが追い越していった。
「……見てよ痣になっちゃった……サイアク」
「さっき、ぶつけたところ?」
「ちがーう、ぶつけられたの!やだ何これ、顔みたい、気持ち悪……」
 言い終わらないうちに、その女の子は派手な音とともに倒れ伏していた。きれいに整えられた舗道には、躓いて転ぶような原因は見当たらない……。
 悪態をつきながら立ち上がった女の子から目を逸らすと、もしや?とも、まさか?ともつかない表情の友人と目が合った。

応募作51

Aさんの30年ほど前の体験。

金曜の夜。法善寺の境内を抜けてすぐの路地奥のバー。
ジントニック。ゴードンで」。
煙草に火を点けた。最近はバーなのに禁煙などという理不尽な店もあるが、やっぱりバーには紫煙がないとな・・・・

ジントニックは悪くない。
やっぱりジンはゴードンやな・・・
飲み終わりかけた時。

「はよ帰りや・・・」

1つ置いた隣に座っていた男だった。
「え?」
「え、なんでっか?」
いや、いまあなたが・・・
「いや・・・ええんです」
なんとなく居心地が悪くなって30分ほどで店を出た。

「はよ帰りや」

浩光

11時前。雑踏を地下鉄御堂筋線に。
前から年配のホステス風の女。
「はよ帰りや」。

振り返ると女はスタスタと歩いていく。間違いなく俺に声をかけてきた・・・・さっきのバーの男も・・・偶然か?・・・早く帰ろう・・・・

地下鉄へ向かう階段を降りようとした。若い男が追い抜きざま「はよ帰ってあげや」

なんや・・・・さっきのおばちゃん。いまの男・・・

首をひねりながら千里中央行きの電車に。
偶然や、たまたまや・・・俺が降りる桃山台に電車が着いた。
向かいの老人が「はよ帰りや」。
いやな汗が出てきた。

俺が住んでるマンションはタクシーで5分。足早に改札口を出た。

なんなんや今夜は?
タクシー乗り場。並んでる客はいない。タクシーはすぐにやってきた。
背中が寒い。慌てて「**町の**マンションまで」と伝えた。

マンションに着きもどかしく料金を払った。
運転手は「おおきに」と陽気に言った。ドアが閉まる瞬間。
「はよ家に帰りや」。

悪寒。エレベーターに乗るのが何故か無性に怖い。
部屋は3階。階段を駆け上がった。インターホーンも鳴らさずドアを開けた。
「ただいま!!」
妻が血相変えて出迎えた。
「ああ、お父さん帰って来た!待ってたのよ!」

「・・・え?」
「さっきお祖母ちゃん死んだ」

応募作50

「猫屋敷」

文乃

「お腹すいてへんか?」と、おばぁが言った。
私の目の前に出されたのは、お好み焼きだった。大阪出身のおばぁが作る料理は絶品で、私はお好み焼きが大好きだった。
おばぁはこの家に一人で住み、九匹もの猫を飼っていた。みんな捨て猫だったが、それを疎《うと》ましく思う人もいた。その代表というべき存在が斉藤さんだった。
「ちょっと、小林さん!」棘《とげ》のある声が玄関から聞こえてきた。斉藤さんのまくしたてる声が突き刺さってくる。
耳をふさいだ私はいつの間にか、こたつで突っ伏して眠っていた。
「もう帰らんと、お母さん心配するで」
おばぁに肩を揺すられ、起きた私はランドセルを手にして帰った。
「ひとつ、ふたつ……やっつ……あれ?」
数日後、かくれんぼしている猫を数えていくと、三毛猫のミーちゃんだけがいなかった。
「お腹すいてへんか?」と、おばぁがいつものように言うと、目の前に土鍋が置かれた。
「ビーフシチューや」
頬《ほほ》がとろけるほどの柔らかい肉を口にして、私の心と体は温かくなった。
「ミーちゃん、どこ?」と私が聞くと、こたつから立ち上がった、おばぁのお腹が大きく膨れていた。そして、お腹を手で触りながら「ここや、ここ」と言った。
驚いている私に向かって、おばぁが服をめくると、そこにミーちゃんが隠れていた。
私は安堵《あんど》して、二人で笑った。
家への帰り道、口の中が気になり、立ち止まった。指を入れてみると、髪の毛のような黒いものが出てきた。
そこは斉藤さんの家の前だった。毎日のように苦情を言いに来ていた斉藤さんを最近、見かけていないと不意に思った。
そのこともすぐに忘れ、歩いていた私は後悔していた。さっき食べたビーフシチューをおかわりすればよかったと、ずっと思っていた。

応募作49

「純喫茶とあの子」

青山藍明

 道頓堀でいちばん派手で、よそ行きが似合う、あのお店。
 きらきらしたシャンデリアと、おおきなテーブル。
 ショーケースのなか、きちんと並んですましている、食品サンプル
 純喫茶、マウンテンはあの子と私、それからみんながあこがれたお店。
 お父さんが、おみやげに買ってきてくれるプリンは、特別なおやつ。
 みんなといっしょで、あのプリンが好きだった、あの子はどこへいったんだろう。かくれんぼをした日から、もう何年たっただろう。あんな子知らない。みんな言うけど、私はぼんやりおぼえている。あの子がいたこと、遊んだこと、なんとなく、なんとなく。
 プリン、プリン、マウンテンのプリン。ちょっとかたくて、あまくて、カラメルがほろ苦い、マウンテンのプリン。
 マウンテンからの帰り道、私はいつも呼びかける。だれもいない空間に。かならず、ひとつだけなくなるプリンに。
 ピッチリと、ビニールの蓋がしまっているのに、中身だけがいつも、きれいになくなっている。
 ねえ、○○ちゃん。名前が思い出せないよ。
 どこへ行ってしまったの?教えて、教えて。
 からっぽになった容器から、バニラの甘さに混ざって、土と草のにおいがする

応募作48

「線路の老人」

宝屋

もう30年近く経つ。
兄弟に誘われて当時自己啓発セミナーとやらに参加した。そこは朝から終電間際まで延々と自己否定から始まりなんの自己啓発だ?と訝しんでそろそろ参加を断ろうとしていた頃だ。

地下鉄に乗り、市内中心部に向かう電車は大きな川を渡ると地下に入る。その橋の上、大凡人が進入してはいけない場所に薄汚れた服に頭は禿げ上がり髭を整えることなくボサボサに生やした老人が立っていた。当時運転席の真後ろで見ていた私は運転士の叫び声と警笛で気づいた。
終電間際なので市内行きの人もまばら、運転士は急ブレーキをかけていたが、電車の灯りに照らされた老人はぶつかる直前までニヤニヤ笑って年なのか栄養状態が悪いのか前歯がなくそれが気持ち悪かった。老人がぶつかった衝撃でドアに叩きつけられたくらいだ。
人身事故か?車掌とのやりとりの後、「点検します」という放送が入った。
しかし、老人どころか誰もいない。
車掌と運転士が半ば喧嘩腰の会話をして、これ以上遅れたら…と何事もなく「お待たせしました」というアナウンスの後電車は発進した。

私は老人のニヤニヤ顔がしばらく忘れられず、そのうちセミナーは理由をつけて参加しなくなり、代表に傾倒していた兄弟はその後セミナーから派生した新興宗教に入り、家族で脱会させたりと大変だった。
その時々に老人のニヤニヤ顔を思い出し、やがて通勤の電車もその線に極力乗らないように転職した。

あの電車のことから10年が過ぎた頃、テレビに当時の新興宗教になった代表がとある事件で名前が出て私は画面に釘付けになった。
紳士然とした代表の風貌はあの時線路に立っていた老人そのもので、記者のインタビューにもニヤニヤしながら受け答えしているのがとても気持ち悪かった。

あの地下鉄の沿線は、あれから地下から出る手前からロールカーテンを閉めるようになり、今は最初からカーテンで運転席がみえないようになっている。

応募作47

「待ち合わせ」

文乃

梅田の地下街を私は走っていた。
泉の広場にたどり着いたときには、待ち合わせの時間から三十分が過ぎていた。
思ったとおり、まわりを見渡しても彼女の姿はなかった。
女はいつも遅れてくるくせに、男が遅れてくると怒る生き物だった。昭和生まれの若い女は男を待たせることによって、ひとつのステータスを競っているように思えた。少なからず彼女もそのうちの一人だった。
どうしたものか。公衆電話で連絡を取ろうにも家に帰っているはずもなく、とにかく捜してみることにした。
彼女のことだ。時間を忘れて、ウインドーショッピングでもしているのだろう。そう高《たか》をくくったが、見つけることはできなかった。
泉の広場まで戻ろうと、その道すがらに私は異変を感じた。突き刺さる視線が自分に向けられていたからだ。
こちらから視線を返すと、すぐに逸らされてしまう。見てはいけないものを見たかのように。
私は泉の広場に急いだ。
彼女がいた。私は大きく手を振った。
彼女もそれに気づき、同じように手を振ってくれた。
私は、にっこり微笑む。彼女も、にっこり微笑む。
長い髪に、真っ赤なワンピース姿が眩しかった。
私が彼女の方に歩いて行くと、彼女も同じように向かってきた。
なにか変だと思った。私の真似をしているのか、一挙手一投足が同じだった。
それは鏡だった。彼女ではなく、私自身が映っていたのだ。
私は、いつしか『赤い服の女』と呼ばれるようになっていた。
そして、なにを捜しているのかさえ、わからないまま、今もこの場所をさまよっている。