第三回「大阪てのひら怪談」のお知らせ

大阪をテーマにした怪談を募集します!

 

あなたも怪談を書いてみませんか!?

~800字の「大阪怪談」を募集中!~

◆2月10日(土)~21日(水)まで、大阪のSUNABAギャラリーで、「第三回 大阪てのひら怪談展」が開催されます。

 

この企画展にちなんで「大阪」をテーマとする800字の怪談募集をおこないます。

  • 応募期間は2017年09月01日~2017年11月30日の午後11時59分送信まで●
  • (応募は締め切られました)

*応募資格は不問。大阪で生まれ育った方、大阪に現在お住まいの方はもちろん、大阪を一度も訪れたことがない方の応募も歓迎いたします。

*テーマについては、大阪と何らかの関わりがあれば可とします。歴史の陰翳に富んだ大阪という土地にまつわる話や、現代の大阪を舞台とする話はもちろん、大阪とゆかりのある人物や文学作品、歴史上の事件に関係する話、怖くて面白ければなんでもあり! の方針で臨みたいと思います。

※応募作品には出来る限り山下昇平氏がイラストを付け、SUNABAギャラリーにて展示予定です。

【応募宛先】 URL http://bit.ly/2hTsXjk

※昨年までと応募先が異なります。

 

応募フォームに入力し、送信を行って下さい。応募作はWeb上で公表予定ですが、改行、誤字訂正等のリクエストには応じられない可能性がありますので、十分に見直しを行ってからの投稿をお願いいたします。

応募で届いた作品はそのままコピー&ペーストで掲載されます。フォントや改行が意図したものと異なった状態で掲載される可能性がありますが、ご了承ください。

SUNABAギャラリーで掲載時には、応募作のフォント等を変更する可能性があります。(内容の変更を行う行為は一切致しません)

 

【審査員】

田辺青蛙(ホラー作家)、酉島伝法(SF作家・デザイナー・イラストレーター)、東雅夫(文芸評論家・アンソロジスト)、牧野修(SF・ホラー作家)、山下昇平(造形作家・イラストレーター・舞台美術家)50音順

 

 

【応募規定】

※実話・創作を問わず広義の怪談(怖い話、不思議な話、奇妙な話など)に属するオリジナルの物語を募集します。

※なんらかの形で「大阪」と関わりのある物語であること。

※応募資格は不問。

※応募作は商業出版社の本や雑誌やサイトで未発表のものに限ります。

※本文(タイトルや筆者名は含まず)字数の上限は800字。

なお筆名は、お一人一つのみを使用とさせていただきます。

※応募本数は1人3作品までとします。

※応募期間は2017年09月01日~2017年11月30日の午後11時59分送信まで有効

*選考は、田辺青蛙、酉島伝法、東雅夫牧野修、山下昇平がおこないます。

(応募作全作品を審査員が読んで選考を行います)

*入選作品はSUNABAギャラリーで開催されるイベントで朗読されるほか、記念品が授与されます。

 

【賞品】

大賞:1作品 

Amazon商品券1万円分と山下昇平氏のオリジナル作品を贈呈予定

優秀賞:3作品

商品券3千円分と大阪に纏わる記念品等を贈呈予定

佳作:5作品

大阪に纏わる記念品を贈呈予定

個人賞:5作品

審査員による記念品を贈呈予定

SUNABAギャラリー賞:1点

何が贈呈されるかはお楽しみに!

※SUNABAギャラリー賞のみ審査員による選考でなく、ギャラリーの来訪者による投票によって選出。

 

※SUNABAギャラリーは移転しました。

〒530-0015

大阪市北区中崎西1丁目1−6 吉村ビル302

Tel.080-6145-7977

sunabagallery@gmail.com

 

公募に関する問い合わせや、取材に関する連絡は下記のアドレスまでよろしくお願い足します。

osaka_kwaidan@yahoo.co.jp

 

「大阪てのひら怪談展 参」

2月10日(土)~21日(水)

http://sunabagallery.com

SUNABAギャラリー

space B

時刻:14~20時、水曜日18時

休廊日:木金休廊

入場料:無料

 

◆審査員プロフィール◆

田辺青蛙(たなべ せいあ)

1982年大阪府生まれ。2006年第4回ビーケーワン怪談大賞で「薫糖」が佳作となり、『てのひら怪談』に短編が収録される。2008年『生き屏風』で、第15回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞。近刊に『人魚の石』。

 

酉島伝法(とりしま でんぽう)

1970年大阪府生まれ。大阪美術専門学校芸術研究科卒。フリーランスのデザイナー兼イラストレーター。2011年、「皆勤の徒」で第2回創元SF短編賞を受賞。ペンネーム此花区にある2つの地名「酉島」と「伝法」をくっつけたもの。

2013年創元SF短編賞受賞作「皆勤の徒」を表題とする連作短篇集を刊行、第34回日本SF大賞を受賞。

棺詰工場のシーラカンス

 

東雅夫(ひがし まさお)

1958年神奈川県横須賀市生まれ。アンソロジスト、文芸評論家、怪談専門誌『幽』編集顧問。早稲田大学エクステンションセンター講師。2011年『遠野物語と怪談の時代』で日本推理作家協会賞を受賞。アンソロジーの企画編集やムック・児童書の監修、幻想文学を中心とする批評、怪談文芸研究、NHKテレビ番組の企画監修、朗読パフォーマンスなど、幅広い分野で著述・講演・公演活動を展開。著書に『文学の極意は怪談である』、『百物語の怪談史』など。監修書に『怪談えほん』『妖怪えほん』の各シリーズ(共に岩崎書店)ほか、総計200冊余の編著がある。

評論家として「ホラー・ジャパネスク」「怪談文芸」「800字怪談ムーヴメント」などを提唱。元早稲田大学非常勤講師。「怪談之怪」発起人の1人。

 

牧野修(まきの おさむ)

1958年大阪府生まれ。1992年『王の眠る丘』で第1回ハイ!ノヴェル大賞受賞。1999年『スイート・リトル・ベイビー』で第6回日本ホラー小説大賞長編賞佳を受賞。
2002年『傀儡后』で第23回日本SF大賞を受賞、2016年『月世界小説』で第35回日本SF大賞受賞・特別賞を受賞。
著書に『スイート・リトル・ベイビー 』、『傀儡后 』、『郭公の盤』『月光とアムネジア 』『水銀奇譚』、『冥福 日々のオバケ』『月世界小説 』など他多数

映画やゲーム作品のノベライズも多く手掛けている。

苦笑の楽園

 

 

山下昇平(やました しょうへい)

1976年宮崎県出身、筑波大学大学院芸術研究科洋画専攻修了。現代美術作家・造形作家・イラストレーター・舞台美術家など多分野にわたり活躍。2004年、『我々の業界』(武寛 著/イースト・プレス刊)の表紙イラストレーション。2005年、夢現舎ロンドン公演『蟻のごちそう』。2005年、岡田照幸『CATCH MY MUSIC 秘密の恋』のジャケットデザイン。2006年、個展『都会のすきま』。2006年、個展『空のゆめ』。 劇団夢現舎の美術全般(衣装、装置、小道具、チラシ)等。他にも数多くの著作物の装画等も手掛けており、ジャンルを問わず評価される作風は、現代アートと商業デザインとのあいだで揺れ動く現代美術界において新たな指針を示している。

 

■関連リンク■

Shohey's Gallery http://beansworks.co.jp/

twitter @yamashitashohey https://twitter.com/yamashitashohey

instagram https://www.instagram.com/yamashitashohey/

 

 

「ふるさと怪談トークライブ」公式WEBサイト

 

山下昇平ギャラリー

http://beansworks.co.jp/

 

山下昇平展 公式サイト | 開催情報・プロフィール | プロフィール

 

東雅夫の幻妖ブックブログ

http://blog.livedoor.jp/genyoblog-higashi/

 

怪談専門雑誌『幽』オフィシャルサイト

http://promo.kadokawa.co.jp/yoo/

SUNABAギャラリー賞の投票箱に投稿されたコメント

「DTB48」 司條 由伊夏
不条理でキモ可愛い感じ。好きです。

個人的に気になった応募作を挙げてみる。
大国主神社で長いお別れ」水無川 燐
ドラマっぽい。橋田寿賀子な世界観をちょっと感じた。

「海な大阪」ふじた ごうらこ
怖くはないけれど、幻想小説として美しい。

「ゆでだこ」泰子
タコにこれだけこだわるのは凄い。どれも好き!

「到彼岸」赤い尻

「愛すべき幕末史跡『適塾』」地草 研
落ちが割と怪談でよくあるパターンだったが蘊蓄のところが読みごたえがあって面白い

「信太森葛葉神社」籠 三蔵
京都の話かと思ったが大阪だった。面白く楽しめた話。

「カクテル」里上侑作

ビリケンさんの町」高家あさひ
沢山あったビリケンさんネタの中でもこれが好きです。

「戻りの橋」ササクラ
極上の優霊物語でした。

「にわとり」七

「看板に偽りあり」大庭くだもの
のっぺらぼうとマレーグマ。動物園ネタがたくさんある中で奇想の極みを感じた

「池に映る」久遠了

「おばはん」剣先あおり
一番大阪らしい「大阪怪談」らしい話

「四十九日のかさのもち」 松岡永子(105)
このコンテストを通じて初めて知った風習。怪異が日常の延長にさりげなくある感じがいい。

「鶏団子鍋」籠 三蔵
読んで生唾が出ました。鶏団子鍋の美味しそうな湯気を本当に感じることが出来ました。

「ヨシオちゃん」ひろみつ
これこわかった。

「結びの一番」 伊藤 智恵理雄
とにかく楽しい!カッパが愛らしくて魅力的

中之島城」君島慧是

「サンドファンタジー」光原百合さん

「黒いポルシェ」葛元益人

「おおきに」長野あき
不思議でありそうな話。上手い。

「万年時計」多摩水雪春

「遺りもの」紅侘助

 「橋と顔」極北のヤマダ

「ドッグヨガ」阿油葉ゆあ

「気質」君島彗是

「たたり」籠三鞍

「山道のパーカー」洞見多琴歌

「メグ」

オンディロンディ

「そのケモノとあのケモノ」極北のヤマダ

「重要機密」剣先あおり
おもろかった。

曽根崎心中」アオ

「血」 中森臨時
大阪人が異星人的な種族として扱われているアイディアが凄い。

「出張」王 軽人

「思い出焼き・キャリー」新熊 昇

「粉もん」長野あき
読んで頭痛がしたこれは怖いというより恐ろしい作品だ。だから怪談ではなくホラーではないか?

河内磐船駅の廃病院』最東対地
実話?落ちが分からないけれど、読んだ後もずっと気になった。

「たこやき坊や」山下昇平
あと2万円安かったら買いました。

「漫画作品」
去年も今年も面白かったです。規定外の作品ですが楽しませていただきました。

「全ての応募作品とイラスト」
順位なんて決められません。全て素晴らしく読ませていただきました。
ギャラリーで全部読むのは難しいのでテキストは今後もアップしていただきたいです。

「かんじょうせんの朗読」


意見コメント:
応募ですがペンネームに何か制限を入れてもいいでは?と思いました。
1度使ったものは2度と使えないとか……。

同じような題材がかぶっていて読んでいてダレた。禁止ネタを作って欲しい。

壁の展示よりもファイル展示の方が見やすくて良かったです。
椅子を増やして欲しい。

朗読が素晴らしかったです。北野勇作さんと東雅夫さんで朗読会イベントを開催してください。

イベントお疲れ様でした。朗読に感動致しました。

投稿作を長編にして出だしはそのままで他の文芸賞に応募してもいいのでしょうか?

立体作品の絵葉書やグッズが欲しかったので作ってください

 

※一部読みにくい文字やタイトルと著者名の間違い等がありました。

こちらで判断して一部修正していますがご意見等ございましたらお知らせください。

 <osaka_kwaidan@yahoo.co.jp>

受賞者への商品発送は月末から3月初旬頃を予定しています。

第三回大阪てのひら怪談選考コメント②

「第三回大阪てのひら怪談」の投稿作に審査員が寄せたコメントです。

 ※どの審査員がどのコメントを書いたのかは秘密です。

 

今回は投稿作のレベルが高く本当に悩みました。読み直す度に評価が入れ替わってしまうような状態で、最終的には完全に好みとその時の印象で選んでしまいました。

 

「遺りもの」紅侘助
読み終えてしみじみと「ええなあ」と思えた話。
鎖でぐるぐる巻きにされた傘がどうなるんだろう?と思って最後にパッと花火のような綺麗な傘が一斉に開く情景が浮かびました。
こういう話いいですね。説明部分がクドくなく、さらっと話の中に入っていける点も良かったです。
情報が多いと、説明だけに気を取られている応募者も多かった中で、これは見事でした。

 
「穴」鳴骸
タイトルと最後の1行が取ってつけたような印象を受けましたが、怪談として読んで個人的にはかなり怖いと感じた作品です。
こういう情景って説明しようとしても、いざ文章にしようとするとかなり難しいと思います。

「カッパのおっちゃん」花月
方言で書かれた作品が多かった中、これは1行目からヤラレタ!と感じました。
擬音とテンポよく進む話が見事。
好みだけでいうなら、今回の投稿作の中ではこの作品が一番好きでした。


環状線」泥田某
頭の中で諸星大二郎の絵柄で情景が浮かんで来ました。暗く何ともいえない、こことは違うルールの存在が間近にいるような怖さと不気味さを感じました。

 

「大阪のおっさん」岩里藁人
読んでいると情景が浮かんで『見える』タイプの作品。最後の落ちは予想外でした。

 

「おばはん」剣先あおり
ありきたりな展開と落ちとも取れる話ですが、会話のテンポが良くて読んでいて楽しくなりました。

 
「サンドファンタジー」光原百合
懐かしい!あったあったそういえば!と思ったあの時計。
おまじないの方法も実際にありそうなのと、願掛けの切なさや、怖さも描かれていて読み応えがありました。

 

「気質」君島慧是
途中何度かぷっと笑ってしまいました。落語的なおかしさがいいですね。
でも実際こういう本が手に入ったら持ち主はかなり怖いだろうなあ。

 

「くすぶり」猫吉
将棋は全く分からないのですが、勝負の情景が目に浮かぶようでした。
子供の愛情が切ない。本当に親をそれでも思う子だったんだろうなあ。
 
「小路の神社」剣先あやめ
怪談実話っぽさもあり、読み終えた後も地味に嫌な余韻がいいですね。でも語り部の描写がやや余計に感じるところもありました。もう少し余分なところを削るとグッとよくなると思います。
 
「七不思議の井戸」GIMA
女の声が、聞こえてきたような気がしました。投稿作の中でかなり怖っ!と感じた作品の1つ。

 

「ちょっとヤバいかも」GIMA
描写がリアルで、いいですね。途中後半の展開が予想出来てしまいますが、苔と人の皮でぐう!やられた!と思いました。
映画の「ファイナル・デスティネーション」みたいな怖さの余韻も良かったです。
GIMAさんは今回他の投稿作のレベルも高かったです。
 
「マスコットたち。」水無川
大阪の不人気ゆるキャラだったら、もっとあれやこれがいる!!という点と、何故あえて「ぱなてぃ」という点が気になりましたが、面白かったです。
 
「戻りの橋」ササクラ
粘った水音というのが不穏な感じで、いやあな読後感。怪談には湿気や水辺が似合いますね。

 

「わたしたちを知らない」青山藍明
大阪との関連が薄いのがマイナス点。明確な描写を避け、子供の語りで書かれている分悲愴感が強く漂う。

 

「閉店セール」司條由伊夏
あちこちで見るずっと閉店セールの店の謎がここに! 確かに京都や奈良や兵庫では大阪程閉店セールの店を見ないせいか、強い大阪らしさを感じました。
それにしても落ちが怖いだけじゃなく、切ないなあ。

 

「Y県某村居酒屋にて」田口六
方言で書かれる作品が多かった中、大阪弁でない言葉で書かれた投稿作は異色。
あっぺとっぺなことが気になって調べちゃいました。仙台の方言なんですね。分からない言葉ってだけでも何かおっかなく感じるのに、人殺しなんだから出だしから怖いです。

 

「道頓堀の清掃」築地つぐみ
「あー」嫌だなあ。顔だけじゃなくって声というのが、気持ち悪くって面白かったです。
「あー」

 

 「五代目」貝光脩
意外な落ちの因果物。最後の二行が、二段階のオチなのが面白い。
予想していたのと全く違った結末でした。

 

「河童の住める道頓堀に」御於紗馬
作中に出て来た文献が気になります!是非続編を!
短編くらいの長さで読んでみたいです。

 

「鳥団子鍋」籠 三蔵
食べ物の描写は投稿作の中でもピカ一でした。
優しさと寂しさを同時に味合わせてくれる良い作品。

 

「看板に偽りあり」大庭くだもの
1行目の掴みが◎ 擬音の使い方も見事でショートショートが書きなれている人じゃないかなあと思いました。

 

「大阪七墓」剣先あやめ
昔の人の日記を読み解くというだけでワクワクします。日記の訳が現代的過ぎるのがちょっと気になりましたが、800文字とは思えない読み応えがありました。

 

「にわとり」七
最後の1行がただただ見事。タイトルとのリンクも不穏。ひらがなであることも利いています。

 

「堂地下にある寿司屋」石動さや加
読み終えた後、思わず「やだなー」と声が出てしまいました。
ありそうな不気味さがいいですね。
 
「百円玉」大庭くだもの
生理的な嫌悪感を含んだ怪談。読み終えた後、何故か食欲がなくなりました。
 
「柵」理山貞二
何かが起きそうな予感をずっと漂わせながら進む。
子供時代、あの辺りは確かにちょっと不気味で、何かありそうな気配があった気がします。そういったことを思い出させてくれた作品。
 
「柿の木に」生古麻六万寺
これは、怪談実話でしょうか? 実は似た話を先日聞いたのです。(大阪ではありませんが……)そのせいか、何というかより読んでいてゾッとしてしまいました。
「大阪てのひら怪談」は投稿作と読み手の間に妙なシンクロニティを感じることが時としてありますし、投稿作同士でそれが発生することもあります。

 

「奇妙な実話2題」 GIMA
並べたことで立ち現れるなんとも言えない違和感が強烈。関連付けたくなる心理そのものが闇かもしれない。

 

「陰膳」  里真澄
今回、2度3度と読むことで味わい増す作品が多かった印象ですが、その中で最も情景が変化する作品でした。

 

「祖母の言葉」  剣先あやめ
人の表裏と言葉の表裏がつるりつるりと逃げるように変化して面白かった。

 

「おっさん山」伊止止
ビジュアルもたまらないし、おっさんの態度の変化そのものも怖い

 

環状線」泥田某
ぬるっとした広がりから収束、オチ、面白いなぁ。
そしてつい自分の足下にも何かしら埋まっているのだと思ってしまう

 

「へぐひ」最寄ゑ≠
食い倒れたい!

 

「澱みの下の白き身は」玉川 数
ノレはルか…わははは、と、これは横書きだからのネタかしらん。これまた二度読みで味わいが変わる面白さでした


「太閤はん」中野笑理子
土の匂いが印象的でした

 

「呼ぶ声」文乃
夜の暗闇が今よりも深かった頃の雰囲気があるなと。女の子の気持ちになるとなかなか堪え難い状況です。

 

「橋と顔」極北のヤマダ
フルッ、フルフルッ……と、時々震える顔を想像してブルッとしました。

 

「大阪のおっさん」岩里藁人
日常の隙間でありそうなありそうもない話(だけどこれからありそう)

 

「智子」最東対地
取り返しのつかない歪みに足を取られた感アリです。片道切符なのだろうな…

 

「たたり」籠三蔵
よくある話なのだけれども、電話が…電話の先が…というとこがクルッときました。

 

「おばはん」剣先あおり
おばはんの明るさと状況のズレがグッときました

 

「擬宝珠」榛原正樹
擬宝珠はおばちゃん(失礼)のどんなとこなんです?!

 

「和泉の歓声」安童まさとし
周りから見たら異常なことをしている自分に気がついている、のに辞められてないのが怖い。

「どうしよう」里真澄
これは聴きたい!

 

「ちょっとヤバいかも」GIMA
え…それは皮膚なんですか?!

 

「遣りもの」紅侘助
最後の規模の広げ方素敵です。

 

「鶏団子鍋」籠三蔵
美味しそうです。鶏団子の味わいの幅も美味しい。

 

「サトオカさんは後ろを歩く」玉川数
それ違うやろ!という、読者をツッコミに誘う二重ボケがやり手です。

 

「紅葉の呼び声」坂本光陽
登場人物の若さが怪談を新鮮にしているなぁ。

 

「線路の老人」宝屋
怪異と関係のないであろう人間関係描写とのギクシャクがいいです。

 

「早めに」君島慧是
確かに海遊館にはこんな時間が流れていた気がする…!

 

「ゆれるで」王軽人
母ではない母の声。お話の外側についてイメージが広がります。

 

「小路の神社」剣先あやめ
書いてないことが読みたい!しかし知らない方が良いのだろうなぁ。

 

「カッちゃん」御於紗馬
オチが二回、どちらでも笑わざるをえませんでした!

 

「牲」榛原正樹
臭いがいい感じでした。贅沢言うならば、もうひとつ、予言めいた何かをみたかったです。

 

「穴」鳴骸
人によって音が違う…のか…

 

「見上げる」国東
違う時間の流れ、違う生き物の時間を感じることができたので。

 

中之島城」君島慧是
色んな子供が色んな夢をみる場所なのだろうなぁ。


今回面白さの底上げ凄まじく、うはぁ面白いと選ばせていただきました。
大阪についてもっと詳しければもっと楽しめたろう、そう思わされること多数。ただ、同時に大阪観光しているような気持ちにもなれました。
絵を描きやすいことと面白さというのも一致せず、その辺りもなかなか個人的には興味深いところでした。

第三回大阪てのひら怪談選考コメント①

「第三回大阪てのひら怪談」の投稿作に審査員が寄せたコメントです。

 


里真澄「どうしよう」
※タイトルまで「王将」と「どうしょう」を掛ける、このこだわりを見よ! たんなる冗談話ではなく、怪談としても首尾一貫している。イベントでの歌唱を切望。

 

泥田某「環状線
大阪弁怪談では、これが一番冴えていた。

 

鳥原和真「善行」
近松門左衛門的な世話物の世界。

 


伊止止「おっさん山」
※トドメの一撃。

 

極北のヤマダ「橋と顔」
※ありがちだが大阪弁が利いている。

 

最寄ゑキ「饗宴」
※ちょっと藤枝静男の『田紳有楽』を連想させる。筆名にヘンな記号を使ってはいけない。

 

玉川数「澱みの下の白き身は」
※おなじみの「ケンタッキー」ネタを文体芸で読ませる。


伊藤智恵理雄「結びの一番」
※バカバカしいが忘れがたいインパクトが。

 

湯菜岸時也「《はぶくの》駅の風景」
発想の転換の妙。大坂色が稀薄(たぶん)なのが惜しい。

 

理山貞二「柵」
※万博跡地に特有のトポスを彷彿せしめる。謎多き話。

 

たなかなつみ「囚われ人」
※この底深い「しがらみ」感は大坂的?

 

王軽人「ゆれるで」
阪神怪談実話として。

 

勝山海百合「柳と双鳥の皿」
※抑えた語り口が見事だが大坂色が……。

 

榛原正樹「牲」
※来たな、クダンネタ!

 

綾野祐介「マルビル」
※ナンセンス味。

 

大庭くだもの「看板に偽りあり」
※お上手なんだが大坂色が稀薄。

 

坂本光陽「紅葉の呼び声」
※正攻法の怪談実話テイスト。

 

「善行」鳥原和真
合法辻閻魔堂
喉仏に絡みついた髪の気味悪さ。さらにそこから奥行きがぐっと広がる感じがよい。


「太閤はん」中野笑理子
こちら側に戻ってくる時の情景がくっきりと目に浮かぶ。よくあるアイデアでも、文章の端正さや、見せ方でこのような素晴らしい作品になる。

 


「大阪のおっさん」岩里藁人
予想を越えたところまで年賀状が続くのが面白い。落とし所も見事。「風俗草紙」の秋吉巒の絵面で想像していた。

 

「河童の住める道頓堀に」御於紗馬(5点に入れたかったです)
記事のリアルな基調に、河童の生態が見事にはまっていて面白い。偽装の懸念ももっともらしい。


「みっちゃんのいたずら」たなかかなた
大阪テーマを逆手にとったシンプルなアイデアが効いている。

 

環状線」泥田某
語りの妙技。大量の死についての思弁から、数える行為を軸に滲み現れる周囲の光景の凄まじさ。

 

ライブカメラ」宝屋
カメラに向かって落ちてくる人間のイメージや、その大きさの落差がいい。人智の越えたことが、確かに起きていると感じさせられる。

 

「大阪七墓」剣先あやめ
先祖の日記の中で、刻々と状況が変わっていくのが面白い。

 

阿倍野王子町あたり」松岡永子
丁寧で繊細な描写の数々に、なんともいえず記憶を喚起される。

 


「URL」天野さん
裏URLの都市伝説としてのリアリティと、それを探す動機の結びつきがよい。

 


「ツッコミ待ち」久瀬たつや
あるあるネタから始まり、「そうなん?」で転じる小気味よさに笑ってしまった。

 


ドッペルゲンガー フロム 大阪?」小野 創
方言の違うドッペルゲンガーは新鮮。

「顔も服装もそっくりやん。こんなに似てる別人なんて怖くて認められへん」という台詞がいい。

 


「到彼岸」 赤い尻
たこ、蛸ときて、凧で広がるイメージが気持ちいい。

 

「海な大阪」ふじた ごうらこ
かつて海であったことを心地良い幻想性の中で実感させられる。子供たちがかわいい。

 

「恋人」高家あさひ
大阪土産のずれと、静かに示される語り手の居場所のずれがよい。

 

「ちょっとヤバいかも」GIMA
なにかが確実に起きる予感を残して終わるのがうまい。

 


「バス、来ぇへんで」船生蟹江
「バス、来ぇへんで」という言葉のおかしみと、声のする位置の気持ち悪さ。

 


「奇妙な実話2題」GIMA
記事形式が新鮮。

 

「遺りもの」紅侘助
人情喜劇王への想いが伝わる丁寧な語り口がよい。傘が開くイメージの鮮やかさ。結びも効いている。

 


「鶏団子鍋」籠 三蔵
香りと味しか仏様はいただけない、という言葉に結びつくラストがしみじみといい。

 

「澱みの下の白き身は」玉川 数
なんの話かと思う凝った文体から、あのお方だと判るときの落差が楽しい。

 

「動物園」貝原
文章が丹精で、見えないフクロウの重みが伝わってくる。

 


「呼ぶ声」文乃
わらった。確かに勝利への執念は怖い。

 


アンフォゲッタブル」坂本光陽
クッキー缶の中のとりあわせが絶妙でよい。

「早めに」君島慧是水槽をどこまでも巡っていく夢幻的な情景が美しい。

 


「お地蔵さん」ふじたま
湧いてくる手に体を引きちぎられる白昼夢感がいい。

 

「待ち合わせ」文乃
よくある泉の広場の待ち合わせものだが、一文で翻るように異界の存在になってしまうのがよい。

 

「大阪では何体か倒したらしいぞ」最寄ゑ≠
異形の戦闘シーンに迫力があり、情景が浮かぶ。タイトルは「宇宙戦争」の台詞ですね。

 


「血」中森臨時
標準語の純粋な大阪人や、しぼんでいく絵面が面白い。

 


アメリカ村インジャパン」白瀬青
お前達は千葉にしか住めないはずだ、に笑った。

 

「無題」白瀬青
幽霊の閉塞的な主観がとてもリアル。

 


「片想い」奈鳥香音(3点に入れたかったです)
想像される結末に向かっていくのだが、描写で読ませる。

 

「閉店セール」司條由伊夏
開店した時から閉店セールしてる状況が面白い。

 

「思い出焼き・キャリー」新熊 昇
お好み焼きが実においしそう。

 


「にわとり」七
最後の足跡が印象に残る。

 


「柳と双鳥の皿」勝山海百合
因果関係のずれが面白い。

 

「重要機密」剣先あおり
ヒョウ柄や飴が呪術的、というのはその通りだと思います。

 

「河内湾」万年青屋
水面下から眺める船のイメージがとてもいい。

 

「橋と顔」極北のヤマダ
戦禍を濃縮したように犇めく顔の数々が、脳裏に残る。

 

「そのケモノとあのケモノ」極北の山田
ケモノが自己認識をする冒頭と、その正体のおもしろさ。

 

「山道のパーカー」洞見多 琴歌
たたみかけるリズムがきもちよい。

 

「看板に偽りあり」大庭くだもの
「立て看板には〈のっぺらぼう〉とある。わたしは マレーグマを見たかったのだが。」がすばらしい。書き出し賞をあげたい。

 

「ふれあい動物園」高家あさひ
読者の思い込みを少しずつずらしていく展開がよい。

 

「サンドファンタジー」光原百合
懐かしい……砂時計の色にどきりとさせられた。

 

「陰膳」里 真澄
女将さんの自然な語りが実にいい。

 

「2017」阿由葉ゆあ
2017年を振り返ることができました。


「遊女塚」矢口 慧
つけ爪は本物の爪とは別の気持ち悪さがありますね。

 

「万年時計」多摩水雪春
まさに歯車。時計から聞こえる歯の音が耳に残る。

 


「ぅん……ない……ねん……」秋月優貴子
みなしんでん、の語感がよい。

 

「穴」鳴骸
事故の偶然を描く淡々とした筆致がよく、気味の悪さが静かに立ち上がる。

 

曽根崎心中」アオ
曾根崎心中に別の生々しさが見えてくる。

 

「道頓堀の清掃」築地つぐみ
死体が出てくるのかと思わせて、叫ぶ泡なのがいい。

 

「柵」理山貞二
子供の頃に体験した似たような状況がリアルに蘇ってきた。

 


「見上げる」国東
骨となったクジラに流れる静かな時間にぐっとくる。

 

「Y県某村居酒屋にて」田口六
語り口と内容の落差がよい。

 


「あめざいく」春南 灯
はばたく飴細工のイメージがすてきです。

 

 

 

 

第三回「大阪てのひら怪談」受賞作発表

 


大賞「環状線」泥田某


優秀賞「大阪のおっさん」岩里藁人
優秀賞「七不思議の井戸」GIMA
優秀賞「澱みの下の白き身は」玉川数


佳作「穴」鳴骸
佳作「小路の神社」剣先あやめ
佳作「善行」鳥原和真
佳作「遺りもの」紅侘助
佳作「太閤はん」中野笑理子

 

個人賞 酉島伝法選「河童の住める道頓堀に」御於紗馬
個人賞 山下昇平選「陰膳」里 真澄 
個人賞 東雅夫選「どうしよう」里 真澄
個人賞 田辺青蛙選「くすぶり」猫吉
個人賞 牧野修選「道頓堀の清掃」 築地つぐみ