応募作73

「奇妙な夜に」

里上侑作

なんかこの部屋変じゃないと妻が言った。夜中に何か大きな音やゴソコソする音や笑い声が頻繁にすると私に言ってきました。大阪に引っ越しをしてきてまだ二週間しか経っていません。上下六部屋のアパート。私達の部屋は上の階の真ん中。両側は空き部屋。下は全部埋まっており右側は大学生の女性、真ん中は小学生の男の子がいる夫婦、左側は中年の大家さん夫婦が住んでいます。不動産屋に事故物件でないことの確認、ネットで検索をしてもこの場所から事故物件は出て来ませんでした。妻は一週間過ぎた日ぐらいから毎日のように私に奇妙だと言ってきますが、私は毎日の仕事の残業の疲れもあり音も気にせず熟睡していました。妻の心配があり、こっそりと食卓の所を三脚を立てビデオ録画をしてたのです。妻は怖がりなので見せず、次の日の休日に妻が買い物中に見ることにしました。音量を大きくし録画したビデオを見ると、何も無く何も聞こえませんでした。ビデオを切ろうとした瞬間、ビデオカメラが倒れる映像が映った。映像には妻のパジャマ姿が映っていた。妻は何かぶつぶつと言っていた。私は音量をさらに上げた。「…いつも遅くて早く帰ってこいよ、むかつくわ、ほんとむかつく…浮気してるのか、いたら殺してやる絶対に許さない…いたら許さない…許さないから」と段々と声を上げ大きな笑い声をした。そして、近くにあった手付きの鍋を食卓のテーブルに何回も叩きつけていました。その鍋を青い大きなゴミ箱に力いっぱいに投げ入れていた。妻はビデオカメラが倒れいることに気付き三脚直す姿が写っています。そしてカメラに向かって妻は満面な笑顔を作りビデオカメラを切りました。私はゆっくりと立上がり青い大きなゴミ箱の中を見ました。中にはたくさんの凹んだ手付きの鍋が捨てあり、一つ拾い上げ私は凹んだ部分を撫でた。