応募作39

「わたしたちを知らない」

青山藍明

おへやはとてもきれいになって、いまはしらないお兄さんと、お姉さんがくらしている。ママのことも、わたしと弟のことも、知らないみたい。

お姉さんは、おなかに赤ちゃんがいる。はやく会いたいって、いつもおなかをなでている。

あるひ、出かけていたママがふらりとかえってきた。ごみだらけになった、わたしたちのおへやに。お兄さんは、いなかった。

しばらくして、あかいランプのついたくるまが、ママをつれていった。わたしと弟は「ママ、ママ」と呼びかけた。でも、だれもきいてくれなかった。

いつか、カミサマはわたしと弟をまた「赤ちゃん」にしてくれるそうだ。赤ちゃんになっても、わたしはママといたい。弟も、ママといたいみたい。

もう、おへやに置いていかないで。けんかしないで、いい子にするから。おかたづけも、ちゃんとするから。夜はちゃんと、おるすばんするから。

だからママ、わたしたちを見つけてね。みんなで、なかよく、もういちどくらそうね。